なぜ、フィンランドで「日本の家庭料理」の店なのか?

海外で「日本料理」といって必ず耳にするのは「寿司」「天ぷら」「焼き鳥」・・・。 しかし、「日本料理」には日本独特の美意識に彩られた特別な「伝統料理」から、普段日本人が食している「家庭料理」まで、奥深く、多種多様な「食文化」の世界があります。

たとえば、一月は「正月」、二月は「節分」、三月の「ひな祭り」、五月は「端午の節句(こどもの日)」、七月は「七夕」というように、日本には暮らしの行事のなかで、古くから生活の暦のように存在し続ける「家庭料理」があります。そこには、「寿司」や「天ぷら」だけでは語れない、日本ならではの「暮らしの文化」が息づいており、一年の暮らしを通して、季節ごとの行事と「日本の家庭料理」が深く結びついています。

そこで私は、自己の経験を活かした「家庭料理」の世界を通して、日本とフィンランドの人たちとの「生活文化」の交流をはかるベースとなる「日本の家庭料理」の店を開きたいと思いました。

 

では、なぜ、フィンランドなのか。

今から約30年程前、日本を訪れた一人のフィンランド人女性が、私の家に滞在したことから交流がはじまりました。そして、1982年、子供と共に出かけた世界一周の旅。そこで最初の寄港地となったのがフィンランドはヘルシンキ空港でした。

ところが、まわりからはそのような旅がしたいと思っても、言葉の壁や生活文化の情報の少なさなどによって、自由にフィンランドを楽しめず、結局ツアーに参加するしかないとの声が。

それならば、私たちがサポートすることで、もっと深く、今までとは違ったかたちで、新しい文化交流が生まれるのではないかと思いました。そして、フィンランド人のパートナーと会社を設立することになり、様々な角度からリサーチやミーティングを重ね、まずは経験を活かした「日本の家庭料理」の店から始めようということになったのです。